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NEURO(ニューロ)とは
NEUROとはNovEl Intervention Using Repetitive TMS and Intensive Occupational Therapyの略で、東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座が開発した反復経頭蓋磁気刺激(repetitive transcranial magnetic stimulation; rTMS)と入院集中リハ訓練を組み合わせた治療プロトコールのことです。当院は同講座が指定した研修を修了し、実施しています。
リクライニング車椅子とrTMS装置マグプロ
【治療の目的】
近年,リハビリテーション医学領域において,非侵襲性の脳刺激介入の可能性が検討されてきており,その効果も明らかになりつつあります。その中でも反復経頭蓋磁気刺激(repetitive transcranial magnetic stimulation; rTMS)は,頭蓋上にコイルをあてがい、電流を流し、磁場を発生することで、頭蓋内の脳に電流を流し、脳細胞を刺激することで脳活動を調整するという近年注目を集めている治療方法です。rTMSの臨床応用の歴史は浅く,現在,本邦でも薬事法承認は得られておらず,臨床治療としての確立は発展途上の段階です。しかしながら,国内外の報告では,その安全性や有用性が確認され,最近数年のrTMSに関する報告は飛躍的に増加してきています。このように,リハビリテーション医学への応用の可能性は非常に期待されています。さらにrTMSは運動のみならず,失語症などの高次脳機能障害に対する有効性も報告されていることから,幅広い治療方法として期待ができます。
【rTMSが効く概念】
大脳は左右の大脳半球に分かれていますが、通常はお互いの半球が反対の大脳半球にちょうどいい程度に抑制をかけています(半球間抑制)。脳卒中等で脳が損傷すると反対側の大脳半球からの抑制が強くなってしまい、損傷した脳が余計に働かなくなると考えられています。損傷していない大脳半球に低頻度の磁気刺激を行うとこの過度の抑制が抑えられて、損傷した脳が働きやすくなり、手足が動きやすくなるという理屈です。損傷脳を直接、高頻度で磁気刺激して低下した脳の働きを活性化しようとする方法もあります。
【治療の方法・内容】
対象:治療に同意された、原則脳損傷患者
- 運動麻痺や高次脳機能障害の程度が中等度(麻痺が重度、軽度の方は効果を認めにくい、得られにくい場合があります)
- 痙攣(てんかん)発作が一年以上起こっていない
- 頭蓋内金属(脳動脈瘤クリップ、コイル、血管内ステント、圧調整式シャントチューブ)が入っていない
- 体内埋め込み型の医療機器(心臓ペースメーカー、人工内耳、パーキンソン病に対するDBS;深部脳刺激装置、硬膜外電気刺激装置)がない
- 妊娠していない
- 30分程度、リクライニング車椅子で安静に座れて、安全に治療協力可能な方。
方法
- 15日間入院頂きます。ベッドの空き状況によりますが、個室、大部屋をお選び頂きます。原則平日の入院、退院で日曜日に磁気刺激や訓練は行いません。
- 入院1日目:午前入院、午後治療説明・入院時評価・刺激位置決定
- 入院2日目:治療開始、治療は午前、午後各々1セット
- 1セットは磁気刺激20分、個別リハ60分、自主トレ60分からなります。
- 退院日:午前退院時評価、終了後退院
反復磁気刺激は安全な機器ですが、使用方法は日本臨床神経生理学会の定めた「磁気刺激法の安全性に関するガイドライン」を遵守します。
磁気刺激は静かな個室でヒーリング音楽を聞きながらリクライニング車椅子に座って行います。頭をバンドで固定して行いますので、眠ってしまっても構いません。
刺激部位を決定するため、手に電極をつけて、頭の上で刺激することで手の筋肉を収縮させます。2回目以降の刺激をスムーズに行うため、頭皮にマジックで印をつけます。
リハビリ訓練は訓練士とのマンツーマンの訓練と作成・指導された方法に従って行う自主訓練の2つがあります。理学、作業、言語療法を行うかは事前にご相談し決定しておきます。
NEUROの一般的基準
- BRS3~5(少なくとも手指屈曲可)
- 年齢18~90歳
- 発症後1年以上経過(原則)
- 初発、片側性
- 顕著な認知なし(MMSE26点以上)
- 医学的、精神的に安定している
- 1年間は痙攣発作なし
- 脳波でてんかん波などの異常波なし
- 頭蓋内金属、心臓ペースメーカーなし、妊娠中でない
当院でのrTMS+入院集中リハ
- 2014年5月から開始
- 2016年11月の時点で35人終了
- 脳出血17名、脳梗塞15名、その他3名
- 麻痺の程度が重度な方や両側に脳損傷がある場合には、NEUROの一般的な適応基準外になりますので、NEURO対象者とは区別して扱います(治療内容は同様)
【お問い合わせ・予約】
当院外来看護師までお問い合わせ下さい。リハビリ科外来を予約頂き、問診、診察の上、適応があるか判断させて頂きます。適応のある場合、入院期間を調整させて頂きます。