ボツリヌス毒素治療

薬について

商品名:ボツリヌス毒素治療はボツリヌス菌のA型ボツリヌス毒素を成分とし、筋肉の緊張を和らげる効果があります。これまでもまぶたや顔のけいれん、小児脳性まひの足などを対象に国内でも多くの方に使用されています。

厚生労働省は平成22年10月に「上肢、下肢痙縮」に対し、適応拡大を承認しました。

痙縮(けいしゅく)について

「痙縮」は筋肉の余分なつっぱりのことで、脳や脊髄が損傷した場合の後遺症として見られます。

対象となる状態

筋肉の余分なつっぱりがあって、日常生活動作やリハビリ訓練の妨げ、QOLの低下、痛み、介護負担の増大の原因になっている場合、つっぱりを改善することによりそれらも改善する可能性があります。

実際に治療の対象となるかどうかは診察により決定させて頂きます。

効果について
  1. 筋肉のつっぱりが軽減、関節が動きやすくなる。
    関節の変形の予防にもなる。

  2. 日常生活動作がしやすくなり、介護量の軽減が期待できる。

  3. リハビリや装具の装着がしやすくなる。

  4. 痛みが軽減する。

効果の発現、持続性について

個人差が有り、直後に実感する方もいますが、通常早ければ翌日から効果は見られ、2週間程で効果を強く感じるようになり、その効果は3~4ヶ月持続します。

注射までの流れ、注射後の流れ
  1. 当院リハビリ科外来を予約の上、診察を受けて頂きます。
    患者さんの経過や状態からボツリヌス毒素治療がふさわしいか、他の治療法は考えられないかご相談させて頂きます。

  2. ボツリヌス毒素治療をすることが決定した場合は、注射日を予約させて頂きます。
    注射薬は管理上取り置きができないため、キャンセル・返品ができません。
    あらかじめご了承下さい。
    体調不良等で延期、中止希望の場合は可能な限り早めにご連絡下さい。

  3. 予約日、予約時間に注射を行います。
    通常30分前後で終了します。注射する筋肉の数によってかわります。

注射後の経過観察やリハビリ的評価を適宜行います。

注射だけでは痙縮はよくなりません。リハビリ訓練や装具療法など他の治療法と併用することが必須です。


当院のボツリヌス毒素治療について

  • 世界では数種類のA型毒素製剤と1種類のB型毒素製剤が流通していますが、本邦で痙縮に使用可能なのはA型のボツリヌス毒素製剤である『ボトックス』のみ。
  • H22年1月 当院にてボツリヌス毒素治療を開始。
    H22年10月 厚生労働省が手足の筋肉の痙縮へ適応拡大。
    H22年12月 当院でも本格的に治療開始。
  • H28年2月末の時点でのべ719回、132症例の方々に施注。
  • 回復期病棟退院後や生活期からリハビリ訓練を開始した方々の治療を行っています。

お問い合わせは

石川病院外来看護師(079-252-5235)までご連絡ください。

グラクソ・スミスクライン株式会社のサイトへ(外部リンク)

脳卒中の後遺症 手足の筋肉のつっぱり(痙縮)(外部リンク)もご参照下さい